歴史の方法

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近代日本総合年表第四版

近代日本総合年表 第四版

要約:近現代史の総合的な年表

 

近代日本総合年表 第四版―1853(嘉永6)‐2000(平成12)

近代日本総合年表 第四版―1853(嘉永6)‐2000(平成12)

 

 書誌情報

  • 編集岩波書店編集部
  • 出版社岩波書店
  • 出版年:2001年11月
  • ページ数:807頁。(序・凡例など10頁、年表部分1~659頁、典拠文献662~807頁)
  • 値段:定価11000円+税。現在品切重版未定。
  • 表記:横組、年表は六列。

 

内容

  • 対象1853年から2000年までの年表。(第一版は1968年刊行、~1967年。第二版は1984年刊行、~1983年。第三版は1991年刊行、~1989年。)政治、経済・産業・技術、社会、学術・教育・思想、芸術、国外の六部門で年表を構成。
  • 詳細政治欄は、内政・外交・軍事・治安・政治運動など。経済・産業・技術欄は、金融・貿易・各産業の動き・産業技術・交通・通信など。社会欄は、社会的事件・マスコミュニケーション・労農運動・社会運動・宗教・医療・スポーツ・災害・風俗・流行・大衆娯楽など。学術・教育・思想欄は、学術研究の体制と組織・思想および教育の動き(軍関係の学校、図書館・博物館なども含む)・国語国字問題など。芸術欄は、美術・工芸・建築・映画・演劇・舞踊・音楽・文学など。国外欄は、政治史を中心に、国内欄との関連を考慮して作成。詳しくはⅶ頁の凡例参照。
  • 付記:1853~67年は2ページ(つまり見開き)で、68~1944年は四ページで、それ以降は6ページで一年分。例外的に1945,46年の8ページのような年もある。年表中の各事項について、基本的に典拠文献が示されている。典拠文献のページに書目が記される。巻末には索引あり。

参考例

10.29自由党大会,大阪で開催.自由党解党,および国会開設期限短縮の建白書提出を決議.11.7元老院に建白書を提出.27  

 ―1884(明治17)年、〈政治〉欄,p.100より。

〔新聞〕1月《中越新聞》(富山),2月《出羽新聞》,3月《下野新聞》(宇都宮),5月《自由燈》,7月《防長新聞》(山口),8月《佐賀新聞》・《改新新聞》(《開化新聞》改),10月《中外電報》(《京都滋賀新報》改)創刊.

―1884(明治17)年、〈社会〉欄、p.100より。

8.30 幸徳秋水自由党を祭る文〉(《万朝報》. 8.26付の中江兆民の手紙に示唆をうけて書かれる).

―1900(明治33)年、〈学術・教育・思想〉欄、p.165より。

11.15 自由・日本民主両党合同,自由民主党自民党〕結成(保守合同成る),総裁決定まで代行委員制(鳩山一郎緒方竹虎三木武吉大野伴睦).

―1955(昭和30)年、〈政治〉欄、p.410より。

 使い方

この年表の特色は、典拠文献が記載されており、読者が典拠にあたって確認できる点である。参考例をもとに説明しよう。一件目の自由党解党の項目の末尾に、27と番号が記載されている。これは、巻末の典拠文献の27に依拠することを示す。典拠文献の頁をめくると「27自由党史(板垣退助監修)」とあるので、ここから日付などを探し出せる。

二例目を見よう。各欄の年末には、「この年」として日付の項目に記載されなかったその年の出来事が載る場合がある。社会欄では、書籍・新聞・雑誌・没者の主な事項が列挙されており、例では新聞について抜き出した。

三例目は、有名な幸徳秋水自由党を祭る文」についての項目である。8月30日刊行の『万朝報』に「自由党を祭る文」が載ったことを示す。雑誌や書籍を典拠とした場合、典拠はそれらの現物によるため、番号は省略される。

四例目は、自由党日本民主党保守合同による自由民主党結成の記事である。戦後の、政治、経済・産業・技術、社会の三欄の典拠は、多くが新聞によるため出典は逐一記されない。日刊新聞、主として朝日新聞による。なお、上記の例の自由党解党保守合同のように、重要事項は太字で強調されている。

 

それでは、索引をどう使うか。自由党で引いてみると

自由党 1880-12a 1881-10a 1882-12a 1883-4a 1884-5a 1884-9a 1884-10a 1884-12a 1886-6a 1890-1a 1890-8a 1891-3a 1891-5a 1891-11a 1893-1a 1895-11a 1897-11a 1898-4a 1898-6a 50-3a 53-1a 54-11a 55-11a 97-12a ―巻末索引p.733より

 となる。abcdefは順に政治、経済・産業・技術、社会、学術・教育・思想、芸術、国外の六部門に対応する。1880-12aなら、1880年12月の政治欄に自由党が記載されていることを示す。なお1900~1999年については、下二桁のみ記載、2000年は2000となっている。

 

備考

典拠文献の記載から確認できるため信頼度が高い。日付の確認に重宝する。もっとも、自由党史、などの記載以降は自分で本を繰る必要はある。史料にあたれ、ということだろう。