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歴史の方法

近現代日本を調べるためのブックガイド。ググらず自力で調べるのに役立つ、事典や目録などの書物を気ままに紹介していきます。

くずし字解読辞典

字典 くずし字

くずし字解読辞典

要約:史料中の「くずし字」を解読するための座右の書。

くずし字解読辞典  普及版

くずし字解読辞典 普及版

 

 書誌情報 

  • 編者:児玉幸多
  • 出版社東京堂出版
  • 出版年:1993年
  • 頁数:353頁+索引61頁
  • 値段:本体2200円+税

内容

  • 対象:「行草体の文字、いわゆる”くずし字”を起筆順に配列し、本来の文字(楷書体)を知らせようとしたもの」。くずされた文字の第一画を、縦点(下に向け連続する点から起筆)、横点(右に向かって連続する点)、斜棒(右上から左下へ斜に伸ばす棒)、縦棒(上から下で伸ばす棒)、横棒(左から右へ伸ばす棒)、という基準により五種の部首に分類する字典。
  • 収録数:約1300字
  • 詳細:縦点、横点、斜棒、縦棒、横棒というこの辞典独自の分類によって配列された部首ごとに代表的な漢字を収録。一つの漢字ごとにくずし字二例、または一つの熟語とそのくずし例。多様なくずし方に合わせて配列されているので、同じ漢字でもくずし方が異なる場合は別の箇所にも収録される。漢字そのもの、からではなく、くずされ方から探す辞典。付録として、カタカナ一覧、扁旁くずし基準(主な扁旁冠などを含む文字や独自の形をなす文字を集め、その字の扁旁を分解して表示。似た形の扁旁の変化も。)、かなもじの解読(五分類によるひらがな収録、五十音順の書体と文例)、似た形のくずし字、くずし字による地名・人名便覧、文書・書翰等の前書・後書。音訓索引つき。
  • 付記:1970年近藤出版社から初版。その後普及版や増補などがなされるも、近藤出版社は倒産。東京堂出版に版元を変え、1993年に机上版と普及版が出版された。机上版はハードカバーでやや値段が高め、普及版はソフトカバーで安め。1999年にはくずし字が毛筆による毛筆版(通常はペン字のくずし字)出版。2007年には山田奨治・柴山守を編者に加えて、『CD-ROM版くずし字解読用例辞典 』という、調べたい文字を入力すると候補のくずし字一覧が表示され絞り込めるソフトが発売された。なお出典は失念したが、収録の字は全て近藤出版社の社長が書いたものらしい。

参考例

279 280〆 しめ(締)

281 乄           シテ して

282283  ふ 布

284285布 ぬの

286287 コキまれに

―斜棒から始まる部首の、の形で始まる箇所を再現しようと試みたが、なにぶんくずし字は入力できないのでこれで限界ですすいません。p.88より引用

 

使い方

 慣れるまでが難しい。くずし字の史料を読みながら使う本なので、実践で繰返し使うことで慣れるしかない。まず、くずし字の第一画が五つに区分された部首のどれに当たるかを考え、部首の目次から似た形の部首に当たりを付ける。次いで、目次で指示された部首の頁に飛び、並ぶ漢字の列から史料中のくずし字と対照して目当ての字を発見する、というのが順当な方法。しかし発見できなかった場合もう一度目次に戻り別の部首から当たりを付ける、との作業を繰り返す。巻頭巻末見開きの「字例によるくずし字検索一覧」は部首ではなく字形による目次の役割を果たすものなので、これを利用すると検索速度が速まる。似た漢字の場合、付録も援用できる。音訓索引からは同じ字の別のくずし方が確認できる。

 

説明からは分かりにくいので、参考例で確認しよう。のようなくずし字が史料に出てきたとする。この楷書の字体だと斜棒と横棒どちらが一画目かは(常識的には分かるが)判別は付かないが、行書だと右上から左下への斜棒から始まる。斜棒の目次を見ると、「〆88」がどうも近い気がする(通常は複数候補が出ることが多い)。88頁をみると、〆の部首で始まる列に、といった漢字が載っている。の場合はの上にが乗っており、今回探している字より複雑だから、のようなくずし字は漢字のだと見当がついた。一応、音訓索引から布を検索すると、88,90とあるので90頁の例とも比べて、 確認が取れる。なお、参考例にもあるように文字に数字が付されているが、特に意味はない。学習中に番号で識別できる利点のためだろう。さて、書いているほうも何を書いたのか混乱しているが、御覧の皆さま方はご理解されただろうか? 

 

備考

慣れるまでが難しい。部首などの見当がついているなら、『くずし字用例辞典』から検索するのも手。両方を使いこなせるようになりたい。この記事の書き方には悩まされた。