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近現代日本人物史料情報辞典

近現代日本人物史料情報辞典

要約:近現代日本史上の人物に関する、史料情報の辞典

近現代日本人物史料情報辞典

近現代日本人物史料情報辞典

 

 

近現代日本人物史料情報辞典〈2〉近現代日本人物史料情報辞典〈3〉近現代日本人物史料情報辞典〈4〉

 

 書誌情報

  • 編者伊藤隆・季武嘉也
  • 出版社吉川弘文館
  • 出版年・値段・頁数:全四巻。第一巻2004年、8000円+税、454頁。第二巻2005年、6500円+税、254頁+索引54頁。第三巻2007年、7500円+税、303頁+72頁。第四巻2011年、8500円+税、357頁+索引96頁。
  • 表記:縦組、三段組

 

内容

  • 対象:「明治元年以降から今日に至るまでの日本の形成に関わった各分野の主要な人物を対象」「原則として文学者・芸術家を除き国家や社会の活動に関わるあらゆる分野、すなわち政治・外交・軍事・行政・経済・社会・教育・学術・ジャーナリズムなど」「「主要な人物」として、各分野で重要な役割を果たし、顕著な事績を残した人物を選定」
  • 収録数:第一巻539名、第二巻262名、第三巻263名、第四巻218名。他に二三四巻にはそれ以前の巻収録の人物史料について、追加情報掲載。
  • 詳細

各項目の記載順序は、人物名とふりがな、生没年(年号・西暦)、最低限の人物紹介、人物史料情報、担当執筆者名。人物史料情報は、個人史料の行方(遺族宅、史料所蔵機関、職場、所在不明など)、その人物の送った書簡などの宛先、史料の整理状況(刊行、整理、公開など)、その人物を知る上で有用な刊行物(自伝、著作、伝記、評論、研究など)を基準に記載。追加情報には、新たに判明した史料情報や刊行物などを補筆。二巻以降には索引が付されているが、各巻までの分を一括しているため四巻で全巻の分が調べられる。歴史的人名とその他(研究者、執筆者名ら)とに分かれる。

 

辞典編纂の推進母体となったKINS|近代日本史料研究会のサイトには、「近現代日本人物史料情報辞典」収載人物一覧と、史料情報辞典 今後の収載予定人物一覧が掲載されている。そのほか史料情報の有益な記述が多い。

 

第四巻で『近現代日本人物史料情報辞典』としての刊行は終了したようだが、その続きが、雑誌『日本歴史』において「近現代史の人物史料情報」として定期的に連載されている。2012年8月・12月、2013年4月・8月・12月号、2014年4月号…と、今のところ4・8・12月に掲載している。内容も辞典に準ずる。史料情報を史、追加情報を追として名前だけ記す↓

  • 2012.8     史:飯田祥二郎、石坂泰三、加藤鐐五郎 追:内田良平、樺山資紀、高島鞆之助
  • 2012.12   史:小山邦太郎、杉民治、三好成行、安原金次 追:井上哲次郎、小河滋次郎、豊福保次
  • 2013.4     史:落合豊三郎、関口隆吉、三笠宮崇仁親王、横井時敬
  • 2013.8     史:大庭二郎、香山健一 追:和田耕作
  • 2013.12   史:川島正次郎、田中久重、原玉重 追:大来佐武郎
  • 2014.4     史:朝海浩一郎、椎名素夫野間清治、横尾東作 追:森本州平
  • 2014.8     史:佐伯喜一、鈴木虎雄、御木本幸吉 追:棚橋小虎、中原謹司
  • 2014.12   史:大熊信行、立川雲平、森元治郎 追:海原治
  • 2015.4     史:市瀬繁、勝間田清一 追:遠藤三郎、副島種臣
  • 2015.8     史:安藤貞美、伊地知幸介、岩崎彌之助、末次一郎 追:小花作助、椎名悦三郎
  • 2015.12   史:坊秀男、村田五郎、若泉敬 追:岩倉具定、岩崎彌太郎
  • 2016.4  史:岩崎久彌、海老名弾正、中條政恒、安田辰馬 追:長谷川清
  • 2016.8  史:大串兎代夫、緒方竹虎、佐藤裕雄、志冨靱負 追:清浦奎吾、前田米蔵 
  • 2016.12 史:大橋忠一、田川誠一、花田仲之助、村松岐夫 追:赤井春海、加瀬俊一
  • 2017.4  史:蓮沼門三、濱田尚友、松田竹千代 追:満川亀太郎
  • 2017.8  史:熊谷辰次郎、田中国重、細田吉蔵 追:安部磯雄

 

参考例

岩倉具視(いわくら・ともみ)

 文政八ー明治十六(一八二五-一八八三) 右大臣

 関係文書の主要部分は、現在憲政資料室、岩倉公旧蹟保存対岳文庫、独立行政法人国立公文書館内閣文庫に収蔵されている。いずれも、『岩倉公実記』編纂に当たり岩倉家から提供された史料、収集された史料(謄写本も含む)が中心となっている。(中略)

以上の三機関の岩倉具視関係文書については、北泉社よりマイクロフィルム版が刊行されている。それぞれの目録、および所収の解説を掲げると以下の通りである。(中略)

その他、岩倉発信書簡については、三条実美大久保利通木戸孝允といった維新期の諸家の文書を視野に入れなければならないが、ここでは省略する。(中略)

伝記・評伝としては、『岩倉公実記』のほか、徳富猪一郎『岩倉具視公』(岩倉公旧蹟保存会/民友社、昭和七年)、大久保利謙岩倉具視』〈中公新書〉(中央公論社、昭和四十八年)、同増補版(平成二年)などがあり、(中略) (梶田明宏)

―以上、引用は第一巻pp.56-58より。

 追加情報はこのようになる。

岩倉具視

 平成二十一年三月、海の見える杜美術館(広島県廿日市市)において、約一七〇〇点の岩倉具視関係文書を所蔵することが新聞などにて報道された。報道によれば、内容は三条実美(中略)  (梶田明宏)

―引用は第四巻p294、追加情報。

 

使い方

調べたい人物を四巻の索引から探す。

岩倉具視①44,51,56,57,61 (中略)④95,122,131,197,198,199,223,247,294,319

太字は追加情報も含めその人物の項目がある頁を示す。岩倉のような人物だと他の人物の項目でも説明されることが多々あるが、その言及箇所も索引には記載されている。例えば四巻198頁の中山忠能の項目では、中山の史料である『中山忠能履歴資料』に岩倉の書状が、いっぽう中山の書簡が憲政資料室や対岳文庫や内閣文庫の「岩倉具視関係文書」に残されていることが書かれている。また単項目のない人物でも言及されれば索引に載る。参考例では、史料情報などキモとなる部分は略して引用したので、ぜひ実物で読んでいただきたい。

 

備考

ある人物について、史料状況から史料の中身の詳細や目録、さらには著作や研究文献まで広く挙げられている。人物の史料情報を調べる手掛かりにこれ以上ない辞典。研究文献の書誌も著者・出版社・出版年が記されているため辿り着きやすい。様々な史料の辿った来歴そのものも興味深く、「近現代私文書史」と副題をつけてもよさそうだ。岩倉については2014年も大量の史料発見との報道があり、このような新発見も今後の『日本歴史』に載るのだろう。通読してみたい。