歴史の方法

近現代日本を調べるためのブックガイド。ググらず自力で調べるのに役立つ、事典や目録などの書物を気ままに紹介していきます。

日本史文献解題辞典

日本史文献解題辞

要約:日本史上の各種文献についての解説をまとめた辞典。

日本史文献解題辞典

日本史文献解題辞典

 

 

書誌情報

  • 編者:加藤友康・由井正臣
  • 出版社吉川弘文館
  • 出版年:2000年
  • 頁数:本文1146頁+索引209頁
  • 値段:20000円+税
  • 表記:縦組・三段組。 

 

内容

  • 対象:「文書・記録・典籍・金石文など日本史研究全般にかかわる」文献、「近代においては新聞・雑誌も」収録対象。『国史大辞典』の関係項目から取捨選択した項目を採録するに当たり、最新の研究成果を反映させるため記述の加筆あり。
  • 収録数:4700項目余り
  • 詳細:項目では、項目名と読み仮名が初めに書かれ、文献解題として筆者・出版社や年月日などといった情報や、その特徴や影響を説明する。末尾に参考文献と項目執筆者名。索引は典籍・人名・事項索引に分かれる。
  • 付記:索引が頭字の音の五十音字で並べられている。読み方の分からない文献を探すためには都合がいいが、逆に本来の読み方の順とは異なるので注意。

 

参考例

にほんれきし 日本歴史 日本歴史学会編集の月刊学術雑誌。本来は「にっぽんれきし」と読んだ。昭和二十一年(一九四六)六月、霞ヶ関書房内の日本歴史社で創刊。当初は「日本歴史の書替」を目的とした啓蒙的な雑誌で、第二次世界大戦後、日本歴史関係の雑誌がまだ復刊や創刊されない最も早い時期の創刊であった。よく二十二年発行所が霞ヶ関書房に合併し、七月号(通巻七号)より、高柳光寿を中心とする少数の同人組織の日本歴史学会が編集を担当し、二十四年三月に日本歴史学会が正式に設立された。(中略)

平成二年現在、発行部数八〇〇〇。会員頒布のほかに市販も行われる。同年に別冊として五〇〇号までの『日本歴史総目録』が刊行された。

〔参考文献〕斎木一馬「『日本歴史』三〇〇号のあゆみ」(『日本歴史』三〇〇)、土田直鎮「『日本歴史』の歩み―三〇〇号から五〇〇号まで―」(同五〇〇) (皆川完一)

ーpp.870,871より引用

 

使い方

付記で述べた点から、索引は一長一短。難読の史料を探すにはいいが、すでに読み方を知っているものは索引を使わず項目を辿った方が速い。日本史全般を対象とするため、近代の文献のみ確認するという使い方はできない。

 

近代の場合、『原敬日記』などの純粋な一次史料だけでなく、『品川弥二郎関係文書』といった関係文書の全容や、『日本資本主義分析』などの同時代的に著名な研究、『時事新報』ら新聞・雑誌、『日本科学技術史大系』といった史料集も収録される。

 

備考

歴史学上の文献解題としては最大規模で、記述もまとまっている。せこい使い方をひとつ。読む余裕はないが知らねばならぬ史料・文献があるとき、解題として取りつくろえるのだ。