歴史の方法

近現代日本を調べるためのブックガイド。ググらず自力で調べるのに役立つ、事典や目録などの書物を気ままに紹介していきます。

渋沢栄一記念財団webサイト

渋沢栄一記念財団webサイト

2016年11月11日午後1時より、公益財団法人渋沢栄一記念財団のwebサイトで、デジタル版『渋沢栄一伝記資料』の公開が開始された。

誰でもいつでもどこでも無料で、あの浩瀚な『渋沢栄一伝記資料』を読める!!

そう聞いて財団サイトを開いてみて、その他のコンテンツの豊富さに圧倒された人もいるに違いない。あたかも渋沢栄一の辿った生涯と同じように、このサイトがカバーする範囲は研究から実践まで幅広いものとなっている。

それなので今回はデジタル版伝記資料は後の楽しみにとっておき、財団webサイトを紹介してみたい。どんなコンテンツがあるかは、各自で読めばわかるはず。ここでは、私が自力で調べるときにどう使うか、という基準だけで記す。

 

まずwebサイトのホーム画面は→ http://www.shibusawa.or.jp/index.html

ここから、渋沢栄一、渋沢史料館、情報資源センター、研究センター、財団概要の5つの主なページに行ける(いちいちホームに戻らなくても画面上部のタブからそれぞれ行き来できる)。研究関連では、財団概要以外の4つのページが中心となる。

 

渋沢栄一|公益財団法人 渋沢栄一記念財団

このブログを読む人で渋沢栄一が誰かを知らない人はいないだろうが、では渋沢は何をしたのかと問われて正確に答えられるような人もまたいないだろう。「渋沢栄一」の項目内の各コンテンツは、渋沢が関わった事業を網羅的に示している。

とりあえず6つに絞って紹介しよう。

渋沢栄一伝記資料』(以下、『伝記資料』)の綱文を年月日順に配列する(なお1840-67年は明治以前、1932-43年は死後として一括)。『伝記資料』に即してではあるが(つまり『伝記資料』から漏れている事項はないが)、何年何月何日に渋沢が何をしていたのかが確認できる。

 

変遷図一覧(業種別)掲載会社社名リスト(50音順)変遷図・典拠資料の見方

の3項から構成される。

見方が複雑なので、変遷図・典拠資料の見方を参照しながら前2者を読むとよい。

変遷図一覧(業種別)は業種別で現在122図が提供されている。渋沢は生涯累計で約500もの会社に関与したというが、それらの会社の設立から現在にいたる離合集散を収める。金融が33図もある一方で新聞・雑誌は1図で済むなど、渋沢の事業の力点がどこにあるのかも見て取れよう。

掲載会社社名リスト(50音順)変遷図一覧(業種別)に出てくる会社をリストにしたもので、そこから変遷図一覧(業種別)や典拠資料にリンクされている。自分が働いている会社を探したいときなど、変遷図一覧から辿ろうとすると大変なので、これは便利な機能だと思う。

 

ゆかりの地(索引地図)ゆかりの写真(リスト)渋沢栄一伝記資料』に見る旅の足跡(年代順)

の3項から構成される。

ゆかりの地(索引地図)では都道府県別に、トピック、関与した事業、○○における旅の足跡、を収録する。

ゆかりの写真(リスト)では都道府県別に、ゆかりのある場所の写真を収録する。

旅の足跡(年代順)では年月日順に、『伝記資料』綱文と先に紹介した渋沢栄一詳細年譜へのリンクをそれぞれ設け、訪問先とその内容を一覧で提供している。典拠は主に『伝記資料』の29・57巻「身辺/旅行」収載の渋沢の日記や『竜門雑誌』の記事などである。前2者は代表的な事例に絞って取り上げるが、旅の足跡では一覧としていることには注意が必要となる。

 

伝記資料目次事業一覧伝記資料の構成伝記資料の使い方、調べ方デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

の5項から構成される。

伝記資料目次は概目次を一覧でき、そこから各巻をクリックすると下位の目次詳細のページに移る。目次詳細は綱文を巻毎に記載する。

事業一覧は本編58巻収録の事業別年譜を発展させたもので、各事業名をクリックすると下位の会社名・団体名等一覧のページに移る。会社名・団体名等一覧には『伝記資料』綱文年月日・その掲載巻の目次へのリンク、変遷図一覧(業種別)へのリンクがある。

詳しくは伝記資料の使い方、調べ方を見ること

伝記資料の構成は本編58巻(58巻は索引等)、別巻10巻からなる『伝記資料』の構成を簡潔に記す。

公開されたばかりのデジタル版「渋沢栄一伝記資料」はここに含まれるものの、今のところ別のページ扱いになっている。

デジタル版のトップは https://eiichi.shibusawa.or.jp/denkishiryo/digital/main/

 

渋沢書誌データベース資料リンク国立国会図書館

の2項から構成される。

渋沢書誌データベースと銘打つものの、更新が2009年に止まったままで網羅性には欠ける(全514件)。とりあえずの確認用にすすめる。

資料リンク国立国会図書館国会図書館のページへのリンク集。具体的には電子展示会、憲政資料、近代デジタルライブラリー(響きが懐かしい、現在は国立国会図書館デジタルコレクション)。2010年最終更新とあるため、各自検索に励まれたい。

 

1909年の渋沢の渡米を、主に『渡米実業団誌』に拠り、団員一覧、渡米マップ(地図)、日程詳細などのコンテンツを提供している。

 

渋沢史料館|公益財団法人 渋沢栄一記念財団

東京都北区西ヶ原2-16-1にある渋沢史料館の施設概要・展示案内などを掲載する。

「渋沢研究会例会」の案内や、雑誌『渋沢研究』の目次一覧が有益。

 

情報資源センター|公益財団法人 渋沢栄一記念財団

旧名は実業史研究情報センター。渋沢敬三の日本実業史博物館構想に由来するため、渋沢栄一だけでなく渋沢敬三関連の情報も含む。2項だけ紹介する。

渋沢栄一が関係した会社を中心とする社史データベース。2014年に公開され、現在1562冊を収録し毎年追加している。

個々の社史から、基本情報/目次/索引/年表/資料編、のデータを採録し検索に供している。

絵引データベース(全271件、2009年最終更新)嫡孫渋沢敬三が日本実業史博物館設立に向け収集した絵引である。URLが簡潔を極めている。

 

大変長くなったので、デジタル版『渋沢栄一伝記資料』は後日を期す。