歴史の方法

近現代日本を調べるためのブックガイド。ググらず自力で調べるのに役立つ、事典や目録などの書物を気ままに紹介していきます。

私撰「明治150年」日本全国デジタルアーカイブ集1 北海道

私撰「明治150年」日本全国デジタルアーカイブ集1 北海道

 

北海道のデジタルアーカイブについては、北海道立図書館が公開する北方資料デジタル・ライブラリーが広くカバーする。この記事もそのリンク集を参考にさせてもらった。以下、「」は引用、それ以外は私の要約。

 

公文書館・図書館(北方資料デジタル・ライブラリー)http://www3.library.pref.hokkaido.jp/digitallibrary/

公開館(電子化した資料を北方資料デジタル・ライブラリーに登録・公開)

・北海道立図書館 

「林家文書」「河野常吉資料」「北越殖民社関係資料」「古地図」など

・北海道立文書館 

開拓使文書」「箱館奉行所文書」「幕末~明治前期公文書挿画コレクション」「函館支庁管内町村誌」

・北海道立埋蔵文化財センター 

「北海道立埋蔵文化財センター年報」

旭川市図書館 

旭川市図書館所蔵写真」「古地図」「絵葉書」

北見市立図書館 

「北見毎日新聞」など

滝上町図書館 

 写真など

 

横断検索参加館(北方資料デジタル・ライブラリーで横断検索可能、閲覧は各館のデジタルアーカイブ上のうち史料を含むもの)

・北海道博物館 http://collection.hm.pref.hokkaido.lg.jp/hm_public/

「収蔵資料検索システム」モノ資料が中心、絵図や辞令・証文の画像あり

・札幌市中央図書館 http://gazo.library.city.sapporo.jp/

「デジタルライブラリー」で、古書「主に江戸後期から明治期の北海道(樺太、千島を含む)、札幌に関する出版物、自筆資料、錦絵、北海道教育会から引き継がれた古典籍など (松浦武四郎書簡、野帳、林家文書、札幌区関係資料など)」、古地図「主に江戸後期から明治期の北海道(樺太、千島を含む)、札幌に関する地図資料」、絵はがき「明治期から昭和20年代の北海道、樺太を中心とした絵はがき」

*古書は国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能な史料も多いが、白黒ではなくカラーで、全体の画質も断然よい。pdfダウンロードは国会、閲覧のみはこちら、という使い分けが推奨できる。国立国会図書館サーチと連携。「開拓使日誌」上中下や「御通輦沿道略記」など

函館市中央図書館 http://archives.c.fun.ac.jp/fronts/top

「デジタル資料館」で「古文書・地図」「絵葉書」「ポスター」「写真」「軸装・額装等」「浮世絵」「函館市史デジタル版」。ADEACにも「函館市地域史料アーカイブ」として同館公開資料を掲載。

*ADEAC(A System of Digitalization and Exhibition for Archive Collections)

 https://trc-adeac.trc.co.jp/

TRC-ADEAC株式会社が運営するデジタルアーカイブシステム、2018年1月6日現在で全国68機関のアーカイブ

苫小牧市立中央図書館 https://trc-adeac.trc.co.jp/WJ11C0/WJJS02U/0121315100

ADEACで「折居彪関連資料」として「鳥獣標本採集家折居彪二郎の採集記録(採集日誌・ノート)ほか関連資料」

・市立釧路図書館 https://trc-adeac.trc.co.jp/WJ11C0/WJJS02U/0120615100

ADEACで「永久保秀二郎関連資料」として「永久保秀二郎日誌」上・下巻、「永久保秀二郎の『アイヌ語雑録』をひもとく」をデジタル化

北海道大学附属図書館 http://www2.lib.hokudai.ac.jp/hoppodb/

「北方関係資料総合目録」のうち、「日本北辺関係旧記目録」「明治大正期北海道写真目録」「開拓使外国人関係書簡目録」「北海道関係地図・図類目録」「ガラス乾板写真」の全文または画像データ

 

 公文書館・図書館(北方資料デジタル・ライブラリー不参加)
帯広市図書館 https://www.lib-obihiro.jp/TOSHOW/html/kyoudo_top.html

歌人中城ふみ子の資料(書簡・日記・原稿など)、「郷土の地図」「絵葉書ギャラリー」を公開

・市立小樽図書館 https://otaru.milib.jp/public_html10/index.html

「デジタルライブラリー」で「古地図102点、古写真98点、合わせて200点公開」

・札幌市公文書館 http://www.city.sapporo.jp/kobunshokan/

「所蔵資料検索」で一部の写真や絵葉書の画像資料も閲覧可能

 

大学

北海道大学附属図書館(前掲、北方資料デジタル・ライブラリー参加)
北海道大学文書館 https://www.hokudai.ac.jp/bunsyo/index.html

目録類のみ

小樽商科大学附属図書館 http://www.otaru-uc.ac.jp/htosyo1/siryo/kicyo.html

「主要特殊文庫紹介、貴重図書 全文画像データ」で洋書・漢書の画像公開、「明治10年に清国の初代駐日公使団書記官として来日」した黄遵憲の『日本国志』などが読める。

 

その他

・デジタル八雲町史・デジタル熊石町史 http://www2.town.yakumo.hokkaido.jp/history/

『改訂八雲町史』(1983)の全文、『熊石町史』(1987)の戦前分までのテキスト化

・フォト北海道 http://photodb.hokkaido-np.co.jp/

北海道新聞社が所蔵する写真のデータベース」現代の写真も追加されているが期間を指定することで戦前昭和期の写真(例えば軍事参議官・加藤寛治大将、副官少佐・新島信夫写真など)も閲覧可能

 

要を得ず、所々私見も挟んだうえ、羅列しただけで見落としもあることと思う。

北海道のデジタルアーカイブに関しては、

  • まずは横断検索機能も持つ北方資料デジタル・ライブラリーから探し始めるべき
  • 札幌市中央図書館の「開拓使日誌」など、北海道関係では国立国会図書館デジタルコレクションより画質の良い史料がある

あたりが基本的な覚書となろうか。

ともかく、比較的まとまっている北海道の一件だけでも苦労した。

私撰「明治150年」日本全国デジタルアーカイブ集0 「明治150年」に際して

私撰「明治150年」日本全国デジタルアーカイブ集0 「明治150年」に際して

 

2018年は1868(明治元)年から数えて明治150年となる。

歴史研究界隈では、「明治150年」関連施策各府省庁連絡会議/内閣官房「明治150年」関連施策推進室による「「明治150年」関連施策」の動向が、若干の用心を伴いつつ注目されているといえよう。

これらの施策の状況は、同サイト上の「各府省庁連絡会議」等の資料から確認できるほか、「明治150年」ポータルサイト - 内閣官房「明治150年」関連施策推進室

にて

  • イベントカレンダー
  • デジタルアーカイブ
  • 主な取組
  • リンク集

が広く一般向けに公開されており、徐々に充実しつつある。

イベントカレンダーを見ると、一人では決して追い切れないほど多くの関連事業が各都道府県で日々行われていることに、目を瞠らざるをえない。

 

研究者にとって最も気になるのはデジタルアーカイブであろう。今のところ(2018年1月6日)、新たなデジタルアーカイブを作るのではなく、関係府省庁・大学等の既存のデジタルアーカイブのリンク集を設ける方針のようだ。

一つ気になるのは、地方自治体の文書館・図書館等が管轄するデジタルアーカイブが含まれないことである。地域史料に関しては府省庁・大学よりもそれらのデジタルアーカイブが重宝するはずだが、考えてみるとそうした日本全国のデジタルアーカイブのリンク集というのはほとんど見当たらない。

 

あまり知られていない気もするので一応紹介しておくと、国立公文書館のwebサイトの「関連リンク」(ホーム画面の一番下の目立たないところにある)に、

のリンク集があり、「全国公文書館等」から都道府県・市区町村が作成したデジタルアーカイブの有無は確認できる。

関連リンク:国立公文書館

しかし、これは公文書館に限られるため、図書館が作成したデジタルアーカイブは含まれない。

文書館・アーカイブズが立ち遅れた日本において、図書館はその代替的役割を良かれ悪しかれ果たしてきており、デジタルアーカイブに関してもまた然りである。

それらの成果が広く共有されない現状への歯がゆさ、「明治150年」への向き合い方、そして何よりも私の好奇心・利己心から、私撰「明治150年」日本全国デジタルアーカイブ集として各都道府県別に、公文書館・図書館・大学の垣根を越えて、どういったデジタルアーカイブがあるのかを確認しようという試みである。

ただ、私の問題関心に従い、明治以降の近代史研究の史料として有用なもの、という限定をつける。(前近代のみのデジタルアーカイブや、あまりに現代に近い自治体の電子広報の類などは含まない)

 

果たして2018年中に終わるのか、それとも正月に書き始める日記のように挫折するかは分からない。あくまで私撰だが、心の赴くままに調べていこうと思う。

渋沢栄一記念財団webサイト

渋沢栄一記念財団webサイト

2016年11月11日午後1時より、公益財団法人渋沢栄一記念財団のwebサイトで、デジタル版『渋沢栄一伝記資料』の公開が開始された。

誰でもいつでもどこでも無料で、あの浩瀚な『渋沢栄一伝記資料』を読める!!

そう聞いて財団サイトを開いてみて、その他のコンテンツの豊富さに圧倒された人もいるに違いない。あたかも渋沢栄一の辿った生涯と同じように、このサイトがカバーする範囲は研究から実践まで幅広いものとなっている。

それなので今回はデジタル版伝記資料は後の楽しみにとっておき、財団webサイトを紹介してみたい。どんなコンテンツがあるかは、各自で読めばわかるはず。ここでは、私が自力で調べるときにどう使うか、という基準だけで記す。

 

まずwebサイトのホーム画面は→ http://www.shibusawa.or.jp/index.html

ここから、渋沢栄一、渋沢史料館、情報資源センター、研究センター、財団概要の5つの主なページに行ける(いちいちホームに戻らなくても画面上部のタブからそれぞれ行き来できる)。研究関連では、財団概要以外の4つのページが中心となる。

 

渋沢栄一|公益財団法人 渋沢栄一記念財団

このブログを読む人で渋沢栄一が誰かを知らない人はいないだろうが、では渋沢は何をしたのかと問われて正確に答えられるような人もまたいないだろう。「渋沢栄一」の項目内の各コンテンツは、渋沢が関わった事業を網羅的に示している。

とりあえず6つに絞って紹介しよう。

渋沢栄一伝記資料』(以下、『伝記資料』)の綱文を年月日順に配列する(なお1840-67年は明治以前、1932-43年は死後として一括)。『伝記資料』に即してではあるが(つまり『伝記資料』から漏れている事項はないが)、何年何月何日に渋沢が何をしていたのかが確認できる。

 

変遷図一覧(業種別)掲載会社社名リスト(50音順)変遷図・典拠資料の見方

の3項から構成される。

見方が複雑なので、変遷図・典拠資料の見方を参照しながら前2者を読むとよい。

変遷図一覧(業種別)は業種別で現在122図が提供されている。渋沢は生涯累計で約500もの会社に関与したというが、それらの会社の設立から現在にいたる離合集散を収める。金融が33図もある一方で新聞・雑誌は1図で済むなど、渋沢の事業の力点がどこにあるのかも見て取れよう。

掲載会社社名リスト(50音順)変遷図一覧(業種別)に出てくる会社をリストにしたもので、そこから変遷図一覧(業種別)や典拠資料にリンクされている。自分が働いている会社を探したいときなど、変遷図一覧から辿ろうとすると大変なので、これは便利な機能だと思う。

 

ゆかりの地(索引地図)ゆかりの写真(リスト)渋沢栄一伝記資料』に見る旅の足跡(年代順)

の3項から構成される。

ゆかりの地(索引地図)では都道府県別に、トピック、関与した事業、○○における旅の足跡、を収録する。

ゆかりの写真(リスト)では都道府県別に、ゆかりのある場所の写真を収録する。

旅の足跡(年代順)では年月日順に、『伝記資料』綱文と先に紹介した渋沢栄一詳細年譜へのリンクをそれぞれ設け、訪問先とその内容を一覧で提供している。典拠は主に『伝記資料』の29・57巻「身辺/旅行」収載の渋沢の日記や『竜門雑誌』の記事などである。前2者は代表的な事例に絞って取り上げるが、旅の足跡では一覧としていることには注意が必要となる。

 

伝記資料目次事業一覧伝記資料の構成伝記資料の使い方、調べ方デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

の5項から構成される。

伝記資料目次は概目次を一覧でき、そこから各巻をクリックすると下位の目次詳細のページに移る。目次詳細は綱文を巻毎に記載する。

事業一覧は本編58巻収録の事業別年譜を発展させたもので、各事業名をクリックすると下位の会社名・団体名等一覧のページに移る。会社名・団体名等一覧には『伝記資料』綱文年月日・その掲載巻の目次へのリンク、変遷図一覧(業種別)へのリンクがある。

詳しくは伝記資料の使い方、調べ方を見ること

伝記資料の構成は本編58巻(58巻は索引等)、別巻10巻からなる『伝記資料』の構成を簡潔に記す。

公開されたばかりのデジタル版「渋沢栄一伝記資料」はここに含まれるものの、今のところ別のページ扱いになっている。

デジタル版のトップは https://eiichi.shibusawa.or.jp/denkishiryo/digital/main/

 

渋沢書誌データベース資料リンク国立国会図書館

の2項から構成される。

渋沢書誌データベースと銘打つものの、更新が2009年に止まったままで網羅性には欠ける(全514件)。とりあえずの確認用にすすめる。

資料リンク国立国会図書館国会図書館のページへのリンク集。具体的には電子展示会、憲政資料、近代デジタルライブラリー(響きが懐かしい、現在は国立国会図書館デジタルコレクション)。2010年最終更新とあるため、各自検索に励まれたい。

 

1909年の渋沢の渡米を、主に『渡米実業団誌』に拠り、団員一覧、渡米マップ(地図)、日程詳細などのコンテンツを提供している。

 

渋沢史料館|公益財団法人 渋沢栄一記念財団

東京都北区西ヶ原2-16-1にある渋沢史料館の施設概要・展示案内などを掲載する。

「渋沢研究会例会」の案内や、雑誌『渋沢研究』の目次一覧が有益。

 

情報資源センター|公益財団法人 渋沢栄一記念財団

旧名は実業史研究情報センター。渋沢敬三の日本実業史博物館構想に由来するため、渋沢栄一だけでなく渋沢敬三関連の情報も含む。2項だけ紹介する。

渋沢栄一が関係した会社を中心とする社史データベース。2014年に公開され、現在1562冊を収録し毎年追加している。

個々の社史から、基本情報/目次/索引/年表/資料編、のデータを採録し検索に供している。

絵引データベース(全271件、2009年最終更新)嫡孫渋沢敬三が日本実業史博物館設立に向け収集した絵引である。URLが簡潔を極めている。

 

大変長くなったので、デジタル版『渋沢栄一伝記資料』は後日を期す。