歴史の方法

近現代日本を調べるためのブックガイド。ググらず自力で調べるのに役立つ、事典や目録などの書物を気ままに紹介していきます。

帝国行政区画便覧(復刻版)

帝国行政区画便覧(復刻版)

要約:「帝国」日本の市町村が管轄する町・字名一覧表。

帝国行政区画便覧

帝国行政区画便覧

  • 作者: 日本加除出版株式会社帝国行政区画便覧編纂委員会
  • 出版社/メーカー: 日本加除出版
  • 発売日: 1994/09
  • メディア: 単行本
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 書誌情報

*復刻版について。旧版については内容で説明。

  • 者:日本加除出版株式会社・帝国行政区画覧編纂委員会
  • 出版社:日本加除出版
  • 出版年:1994年
  • 頁数東京府樺太庁一~六二〇頁、台湾・関東局一~四四頁、朝鮮一~二八〇頁、附録一~二九〇頁。
  • 値段:本体14563円+税(在庫なさそう)
  • 表記:段数は頁ごとに異なる。縦組み。

 

内容

  • 対象:郡市町村の区画について、読み方も付けて表記。その下の大字も列挙する。
  • 収録数・範囲:復刻の対象となった昭和十二年六月現在の「日本」について。ただし朝鮮総督府管轄区域は昭和十八年四月現在。
  • 詳細:本書は復刻版なので、ます『帝国行政区画便覧』について説明する。初版は、一九〇一年七月、警眼社から出版の 帝国行政区画便覧 完近代デジタルライブラリーに上げられている。内容の変更の都度ページを差し替える加除式の書籍で、これが日本最初の加除式便覧らしい。1904年からは内務省認定図書となり、「全国共通の行政文書の規範」とされていたという。改訂は三回だがその他こまめに改版されているようだ。近代デジタルライブラリーには1941年の帝国行政区画便覧もある。今回は1937年の本だから、より新しい分はそちらで確認できるだろう。府県―郡市町村―大字(丁目数を記載)を表で記しており、市区の場合字まで、町村の場合は町村名まで読み仮名が付いている。現在の四十七都道府県に加え、樺太庁台湾総督府・関東局・南洋庁朝鮮総督府が本編の行政区画便覧の収録範囲である。1901年版から、帝国日本の領域が広まるにつれ随時追加されていったと思われる。加除式なので途中の年度の分は分からないが、1926年の二版のものは国会図書館内で閲覧可能。

 

  • 付記:附録は、裁判所管轄区域表、区裁判所・出張所名並管轄区域表、警察署管轄区域表、陸軍管区表、歩兵隊兵員徴収区指定表、連隊区司令部名称並位置、憲兵隊配置及憲兵分隊管区表、徴馬管区表、新旧郡名対照一覧表、府県支庁ノ名称・位置及管轄区域表。

 

参考例

台湾総督府

 台北州 台北市

 台北市 台北市

大宮町 円山町 大龍峒町 河合町 宮前町 大橋町 永楽町 太平町 日新町 御成町 三橋町 大正町 北門町 建成町 上奎府町 泉町 港町 蓬莱町 下奎府町 明石町 表町 本町 京町 大和町 栄町 文武町 書院町 乃木町 水道町 富田町 樺山町 幸町 東門町 錦町 新栄町 千歳町 児玉町 旭町 福住町 古亭町 佐久間町 龍口町 川端町 馬場町 南門町 東園町 西園町 八甲町 老松町 若竹町 新起町 西門町 末広町 元園町 入船町 有明町 龍山寺町 新富町 堀江町 寿町 築地町 浜町 緑町 柳町

台湾総督府、関東局、南洋庁、行政区画便覧のp.1より引用

 

使い方

索引はないので、目次から調べたい地方の記述にあたる。附録が充実しており、各地域の各業務の管区をそれぞれ確認できる。参考例のように名称を挙げるだけで区画の変遷などは記載されていないため、1937年現在における行政区画であることは注意。

備考

樺太や台湾や朝鮮が含まれていることだけでなく、参考例の大和町、乃木町、児玉町、樺山町といった地名からも、「帝国日本」の及ぼした範囲が分かる。詳しくは述べないが、樺太台湾総督府、関東局、南洋庁/朝鮮ではそれぞれ扱いが異なることが、行政区画や警察などの管轄の違いから見て取れるだろう。